Program

MATERIALS RESEARCH
MEETING 2019

Materials Innovation
for Sustainable Development Goals

2019 DECEMBER 10-14 YOKOHAMA SYMPOSIA

Overview

Tutorial

第一原理計算でなにがわかるのか

神谷利夫

東京工業大学

スパースモデリングの基礎とマテリアルズインフォマティクスへの展開

五十嵐康彦

東京大学新領域創生科学研究科

機械学習を用いた材料開発と物理探求
~機械学習の予測性能とモデル解釈性の使い分け~

岩崎悠真

日本電気株式会社システムプラットフォーム研究所

30分でわかる!J-PARC中性子・ミュオン利用のはじめ方

大石一城

一般財団法人総合科学研究機構 (CROSS)

放射光の応用研究の実際とSPring-8の利用について

木下豊彦

(公財)高輝度光科学研究センター

(仮)量子ビーム利用とMIの活用による材料研究の新潮流

小野寛太

高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所

第一原理計算でなにがわかるのか

近年では、物質の構造のみの入力データから量子理論に基づいて、構造や物性を高い信頼性で計算する「第一原理計算」が、安価なPCでも実行できるようになりました。実験を主とする研究者にとっても、「計算機実験」は実験装置と同様に先端研究に必須なツールとなっています。本講演では、なるべく物理理論や数式を使わず、第一原理計算をどのように材料研究に役立てることができるか、以下のような項目について、実際の計算例を交えながら講義します。

  1. 基礎: 密度汎関数理論、第一原理計算で何がわかるか?
  2. 電子構造(バンド構造、状態密度、波動関数、フェルミ面)の読み方と解釈
  3. 物性:バンドギャップ問題、有効質量、キャリア輸送特性、光学スペクトル、誘電率テンソルなど
  4. 全エネルギー:安定構造、弾性テンソル、反応熱、相安定性
  5. 欠陥とドーピング

スパースモデリングの基礎とマテリアルズインフォマティクスへの展開

五十嵐康彦

東京大学新領域創生科学研究科

http://mns.k.u-tokyo.ac.jp/~igayasu1219/

近年、人工知能(AI)が新聞やメディアなどで多く報道され、その応用先は爆発的に広がりを見せている。特にこのAI技術を日本の基盤産業である素材産業においても適用するマテリアルズインフォマティクスは、研究機関だけでなく、民間企業においても注目を集めており、材料開発にAI革命が訪れようとしている。

本講演では、マテリアルズインフォマティクスの有効なアプローチの一つであるスパースモデリングの基礎について講義する。スパースモデリングとは、実データを説明する記述子は本質的に少ないことを事前情報として仮定することで、少ない情報から全体像を的確にあぶり出す統計学/機械学習の枠組みである。この技術により、実験データを説明する有効な記述子抽出や計測データのノイズ除去等によるマテリアルズインフォマティクスに繋がる。本講演では、マテリアルズインフォマティクスにおけるスパースモデリングの応用事例を紹介し、日経新聞等でも報道されたナノシートの高効率収集への応用や、その基礎技術の発展について述べる。

  1. スパースモデリングの基礎
    1. データ駆動科学とスパースモデリング
    2. スパースモデリングの基礎
  2. スパースモデリングによるマテリアルズインフォマティクス
    1. リチウムイオン電池の電解液材料探索への応用
    2. 高収率なナノシート合成開発への応用

機械学習を用いた材料開発と物理探求
~機械学習の予測性能とモデル解釈性の使い分け~

岩崎悠真

日本電気株式会社システムプラットフォーム研究所

https://jpn.nec.com/rd/people/yuuma_iwasaki.html

2011年東京大学 理学系研究科 物理学専攻 修士課程修了
2011年NEC 入社 中央研究所 配属
2015年メリーランド大学 客員研究員
2017年JST-さきがけ 研究員

AI囲碁(AlphaGo)やAI将棋(Ponanza)等によるAIブームの影響から、材料開発の分野でもAI技術を用いた取り組みが盛んに行われている。 囲碁や将棋などではルールや目的が単純であるため、AIが人類を超越した存在になっているが、材料開発および物理探求の分野では解くべき問題が非常に複雑であるため、囲碁や将棋とは違いAI技術さえあればよいというわけではない。 そのため、材料開発では、物理学/材料学の知識を有する科学者とAIの協創が非常に重要となる。

この、『科学者とAIの協創』による材料開発および物理探求において重要な役割を果たすのが、解釈可能な機械学習(Interpretable Machine Learning or Explainable Artificial Intelligence)と呼ばれる技術である。 解釈可能な機械学習モデルを用いて、人間が物理学/材料学の知見をベースに現象を理解しながら材料開発を進めることによって、より良い材料の開発につなげることができる。

本本講演では、機械学習の解釈性を活用した物理探求や材料開発の概要、およびその実例をメインに述べる。

  1. 概要
    • Materials InformaticsとPhysics Informatics
    • 機械学習の解釈性
    • Interpretable Machine Learning
  2. 応用事例
    • 物理探求のための機械学習手法
    • ベイズ最適化による磁性合金材料探索
    • 解釈可能な機械学習による熱電材料開発

30分でわかる!J-PARC中性子・ミュオン利用のはじめ方

大石一城

一般財団法人総合科学研究機構 (CROSS)

https://researchmap.jp/read0158202

一般財団法人 総合科学研究機構(CROSS) 中性子科学センター 副主任研究員、BL15グループリーダー。
青山学院大学大学院理工学研究科 博士(理学)。高エネルギー加速器研究機構、日本原子力研究開発機構、理化学研究所を経て、現職。
中性子・ミュオンスクール実行委員長 (2018〜)。

  1. 大強度陽子加速器施設(J-PARC)物質・生命科学実験施設(MLF)
    • 大強度パルスビームの特徴
    • 中性子実験装置・ミュオン実験装置
  2. 中性子実験・ミュオン実験
    • 中性子とミュオンの特徴
    • 中性子とミュオンで何が分かるか?
  3. MLFで拡がる物質・生命科学研究及び産業利用
    • 中性子・ミュオンの利用例
  4. MLFの利用方法
    • 初心者・学生・産業利用の方法
    • 学生研究生、企業ポスドク

放射光の応用研究の実際とSPring-8の利用について

木下豊彦

(公財)高輝度光科学研究センター

https://researchmap.jp/read0067879

東京大学物性研究所附属軌道放射物性研究施設助手、助教授。
分子科学研究所極端紫外光実験施設助教授などを経て2005年より現職。

国内には数多くの放射光施設が稼働し、今年度から東北であらたな放射光施設の建設も始まった。現在、国内で創出される自然科学系の論文のうち、2%あまりが放射光に関わる研究成果である。このように、現代の自然科学の中で大きな役割を果たしている放射光であるが、産業界での利用も大きく、大型放射光施設SPring-8では約20%のビームタイムが産業界に利用されている。

本チュートリアルでは、企業の方、あるいは放射光になじみの少ない学生の皆様を対象に放射光の利用について紹介したい。

  1. 放射光の利用の概要
    放射光の発生、ビームライン、装置、実験手法
  2. 応用事例の紹介(分光、イメージング、構造解析、顕微観察、時間分解観察、in situ、オペランド測定)
    実験室光源で得られるデータとの違い、どのような情報が得られるかなど
  3. SPring-8の課題申請
    SPring-8の課題申請を実際に行うにあたっての説明
  4. Q&A

本講演のあと、少しでも新たなユーザーさんが放射光を利用してくださるようになることを希望します。

(仮)量子ビーム利用とMIの活用による材料研究の新潮流

小野寛太

高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所

ono.kek.jp

1996年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了
1996年東京大学大学院工学系研究科助手
2003年高エネルギー加速器研究機構助教授、准教授

  1. 計測とインフォマティクス
    統計・機械学習技術を用いて計測の最適化や実験データ解析を自動化する研究の背景について解説する
  2. 材料科学と量子ビーム計測技術
    材料科学における量子ビーム(放射光・中性子など)利用の有用性や複数のビームを利用するマルチプローブ利用について、具体例を交えて解説する。
  3. 量子ビーム計測の最適化・効率化
    インフォマティクス活用による量子ビーム実験の最適化について、ガウス過程や能動学習の基礎から実際の実験への適用まで解説する。
  4. 実験データ解析の自動化
    インフォマティクスを利用した、量子ビーム実験データの自動解析について、多様体学習や機械学習の紹介と実際のデータ解析への応用を紹介する。
  5. 今後の展望
    材料開発を飛躍的に効率化するための展望について紹介する。